星空を見る機会は明日香に住んでいるのだからありそうだがあまりない。近隣の不夜城ともいえるネオンや雑多な明かりは空をほの白くさせ、天空いっぱいの星といえば山を分け入った辺境の地まで行かなくては無理だ。
大台ヶ原で見上げる空にはこんなにも星があるのかと驚かされる。ほんとに星が降ってくるのではないかと思わせる。ただ見えていないだけで、どこからもほぼ同じ星を見ることが出来るのだが、それを見たときの感動は大きい。
大台ではないが先日撮影会で野迫川村へ行ってきた。夜明けの雲海ねらいで前夜から立里の荒神さんへ。山に登っていく沢筋にはまだ蛍が乱舞していて、時々車を止めては楽しんだ。標高1200メートルの尾根筋に着くと道路にチカチカと光るものがある。蛍だ。これまで見たこともない早さで点滅している。ライトで照らすと少し小ぶりの蛍だ。こんなところにもいるのかという驚きで、空を見上げると満月だ。雲が流れ星も見えている。北方向に目をやると遠くに街の明かりが見える。金剛山系を隔てて左に河内、右が大和盆地だろう。目の前の谷には雲海が出ている。満月の夜だが星も見え雲がある。おもしろそうだと撮影開始。午前1時。デジカメデータを参考にアドバイスをし、寒いのでジャンバーを羽織りながら夜明けまで撮影した。こんなに長時間夜空を眺めたことはなかったのではないだろうか。東の空を赤く染めた夜明けまで、感動の波はとぎれなかった。