聖徳太子ゆかりの橘寺で春の会式があり行ってきた。太子殿の修復が完成し営繕完了の法会も行われた。百味の御食が経堂から本堂まで参列者の手渡しで送られ奉納される。特に品は決まっていないらしいが、お米、昆布、寒天からツクシ、ウドなど季節の野菜も加わる。寺を支える講社の人たちが黒塗りの三宝に乗ったお供えをうやうやしく送ってゆく。父母もこの列に参加していたのだろう。桜の若葉が日差しをすかして鮮やかだ。無理をしても母を連れてくるべきだった。本堂での法会を聞きながら、そこに立っている自分は父に導かれてきたのだと思った。横で手を合わせ祈りつづける父の姿が見える。自分など恥ずかしくて比べようもないほど誠実に生きた父。山門を抜ける風に播がはためく。若葉が目にしみる境内を父と共に眺めている気がした。
レンゲが咲き出した。