風邪をひいた。喉が痛くて医者に行ったのだが5日間の投薬もあまり効果無く、1週間経ってもまだ痛い。今シーズンは風邪を引くことも無く快調に終えることが出来るのかと喜んでいたのだが、そういうわけにもいかなかったようだ。2日撮影会が続いたのだが、氷点下2度の朝という冬に逆戻りしたなかで広橋の梅林に行った。とにかく寒かった。喉が良くなるわけもなく、でも買って来たフキノトウで春を楽しんだ。広橋は歌人の前登志夫氏が住んでおられるところ。私は歌よりも氏のエッセイにひかれるのだが、吉野をよしとする思いはその文章によってより膨らんでいった。出会いは40年程前に手にした吉野のガイドブックのような小さな本だった。その後に読むエッセイの数々に感じ入り、書棚を探ってみて同じ著者だと気づいた。広橋は天川の洞川に向かうとき越える最初の峠の集落だ。大峰山系に通った頃幾度となく越えた。峠には小学校があり振り返ると金剛葛城、そして形の分かりにくくなった二上山が遠くに望めた。今その下をトンネルが抜けている。おかげで車の往来は少なくなった。春の日差しを浴びる斜面にはかすかな梅の香が漂い、静かな集落の暮らしが感じられる。