子供の頃、山へササユリを採りに行った。春先、まだ下草の生えないコナラやクヌギの林へ入って、地面から筆のように出た芽を見つけて掘り出し、それを持ち帰って家に植えた。梅雨時に花を付けるのが楽しみで、子供らの遊びだった。
ところが、近年近くの山でも見かけなくなった。山の変化があるかも知れない。スギ、ヒノキの植林がなされ、里山は大きく変わってしまった。山沿いの集落ではコナラ、クヌギの林が必ずあって薪や炭焼き、シイタケのほだ木として使われていた。林は伐採してもひこばえが育ち、10数年経てば元通りの林に戻る。順番に林の木を伐っていく。暮らしのサイクルによって里山は守られてきた。
こういった林下でササユリは育ってきた。晩秋、風に運ばれた種が定着し花を付けるまでに6~7年を要するという。環境が整わないと育たない繊細な花だ。
生活様式が環境を大きく変えてしまった。特別なことをしない限り自然環境を守っていくことが出来ない時代だと感じる。
ともあれ、国営飛鳥歴史公園ではササユリを育てていて笹の中に顔を出す可憐な姿を見ることが出来る。大神神社では25年前からササユリ奉仕団が結成されてササユリ再生に取り組んで来られた。その成果が境内を清楚に飾っている。ささゆり園や大美和の森でその姿に出会える。
7日撮影。