春になると野の恵みに満たされて生活している。フキノトウに始まり、ノビル、ワラビ、スカンポ、セリ、ウドなど、野と共に生きていると実感する。フキは野フキを植えて増やした。山ウドは父が生前植えていった。セリは雑草なのでいくらでも生えてくる。殆ど天ぷらだがノビルはワケギと同じように酢味噌和え、セリはセリご飯にする。もう初夏になったがセリとウドはまだ楽しめる。ウドの若葉は天ぷらが絶品。というわけでまだ野の一品が食卓に並ぶ。
もう一つ、春はアマゴ釣りに出掛けているのだが、今年は3月の解禁からまだ1回しか行けてなかった。昨日やっと時間が空いて東吉野へ出掛けた。午前4時に出発。前日からの雨で増水しており、しかも雨の中の釣りは願っても無い条件。気温も低くなくぽつぽつと釣れる快適な釣行となった。
途中鹿の骸と思われるものに出会った。渓流釣りではたまに出会う事がある。今回のはあばらが無く脊椎だけ。頭らしきものがお尻の方にもあり、蹴ってみたが引っかかっていた。不思議な出会いだった。それもこれも谷を歩く醍醐味ではある。というわけでアマゴが食卓に並んだ。
明日香の野にどっぷりと浸かって暮らしているが、最近高村薫の「土の記」に出会った。宇陀を舞台にした作品で、「土の記」タイトルそのものという作品。高村薫の作品は何作か読んでいて、氏の緻密な取材力にはいつも感服している。上巻を読み終え下巻に至ってようやくイメージの世界に入っていくことが出来た。