雨だ。こんな日は紅葉がしっとりとしていい。そう思って音羽観音へ出かけた。山は雨に煙っている。聖林寺近くで坂道を疾走してくる一台の怪しいカブがある。降りしきる雨をものともせず、勇壮な?姿はどうみても大和路号を操る隊長に違いない。こちらは軟弱な4輪だ。ためらったが挨拶せずにはおれない。鼻水どころか顔中みずみずしい隊長は談山神社からの帰りだという。カブにするべきだったという悔いが残ったが、今日は仕方がない。精進を誓ってお別れし、音羽に向かう。
車を置き1キロの急坂を登り切ると…、まだ紅葉の葉が残っていた。黄色い紅葉、紅い葉も落ちている。雨の中、静かに本堂が鎮座する。かわいい尼さん等身大人形がちょこんと座っている。思わず微笑んでしまう。
しばらく撮影し、本堂にお参りしようとしていたらご住職が現れた。かわいいネコがお供だ。さわやかな印象の尼さんは山深い寂れた寺を建て直された方のようだ。昨日二上山で会った方もこの住職の話をされていた。しばらくお話しさせていただき、少しは清浄な気持ちになった。来てよかった。
寺は標高600㍍のテラスにある。音羽山のピークまでは後250㍍高度を稼がなくてはならない。音羽三山にもそのうち登ってみようと思った。