台風の被害は幸い大したことがなかった。明日香に都を置いた先人達もこの地のことをよく分かっていたのだろうか。上北山村の降水量に驚いて奈良は大変なことになっているのではと気遣う人もいたようだ。紀伊山地は豪雨地帯。一晩に千ミリを超す雨が降るといわれる。奈良盆地とはえらい違いだ。
朝から奈良市写真美術館へ行く用があり、入江泰吉氏の昭和の奈良大和路を見てきた。自分の幼い頃、昭和20年代後半から30年にかけての大和路風景。懐かしくも美しき大和路だ。置いてあった光村推古書院刊の「昭和の大和路」を買ってきた。
夕刻、台風が去ったとはいえまだ雨が残る怪しげな西の空、束の間の陽光にシャッターを切った。