橘寺
 22日、橘寺の会式に出席した。ずっと両親がかかわってきたお寺だが、会式の最初から最後迄見たのは初めてだ。聖徳太子勝鬘経講讃1400年慶讃法要が営まれ、勝鬘経の問答が100年ぶりに行われた。幼い頃遊んだ寺の記憶がよみがえり、父のイメージが重なった。父が亡くなった後、母が毎年手伝っていたのだがもうそれも出来ない。どうしようもない時の流れは穏やかなようで性急だ。「百味の御食」のリレーに父の顏が見え隠れする。初夏の一日寺にいた。
 そして昨日、母の髪をカットした。穏やかな日差しに白髪がはらはらと落ちる。出にくい言葉で「ありがとう」をくりかえす母。小柄な身体がさらに小さくなったようだ。
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# by asuka-ji | 2006-04-24 15:10 | 明日香 | Comments(2)
手紙
 ある人から手紙をいただいた。時々届く便りは明日香を訪れた感想や日頃の思いが綴られている。簡潔で気取らず静かに語りかけるような文章は、穏やかな人柄を思わせ読む者を心地よく引き込んで行く。
 手紙はメールと違って書くときに悩み、封筒に入れるときに考え、ポストに投函するときにも最終決断をしなければ出せない。何度も関所を通らねば行けないのだ。その分強い意志の働いたものといえる。メールのように漢字の変換違いやうっかり送信というミスもないが、その分文字が生きていて内容を大きく修飾したりするものだ。筆使いにも人柄が出てしまう。それゆえ相手に気持ちを伝えようとする時には手紙は有効なものだと思う。だが書かなくなった。ちょとした礼状にも四苦八苦してしまうのだ。これではいけないと思っているのだが。
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# by asuka-ji | 2006-04-21 14:36 | 明日香 | Comments(3)
母が退院した
 母が退院した。15日間の入院だった。迎えに行く日、JR和歌山線の踏切で電車を見送った。田んぼではトラクターが田おこしの最中。すっかり芽吹いた雑木林の向こうに多武峰から龍在峠への稜線が見える。一番奥の山は音羽山だろう。西日を受けた病院迄の風景は今日も変わらない。ローカル線の列車が目の前をゆっくりと通り過ぎる。陽はもうすぐ金剛山に落ちるだろう。
 2週間通い慣れた道だ。笑顔と涙でくちゃくちゃになった母を車に乗せると、「菜の花がきれいやなあ」と車窓を見てつぶやく。入院の間何をしていたのか本人は何も覚えていない。家に帰れるという喜びももう忘れてしまっているようだ。近くの叔母の家に寄って顏を見せてあげた。夕食はセリのごまあえ、ノビルの酢みそあえ、ワラビとタケノコの煮物など山菜ずくしにしたら喜んで食べた。これでいいのだと思う一方、また以前の生活が始まるのかと複雑な感慨になる。
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# by asuka-ji | 2006-04-20 15:29 | 日々 | Comments(2)
野の味
 奈良市写真美術館で開催中の「十人の大和路」で作品解説を行わねばならず、昨日行ってきた。顔見知りの方もたくさん来ていただき、写真展をしているのだと改めて思った。
 畑に行くとワラビが頭をもたげ、ウドがめをだしていた。セリも目につくように大きくなり、スカンポもいつのまにやら出ている。うろうろしているだけで楽しくなる季節だ。いただきもののタケノコと春第二弾の野の味を満喫する。そろそろ夏野菜を植えなければ、と思っているのだが母がまもなく退院になるだろう。今よりも世話がかかることになる。退院を喜ぶ気持ちと時間が自由にならない窮屈さと思うことは多い。
雨の山辺に桃がよく似合う。
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# by asuka-ji | 2006-04-17 15:35 | 明日香 | Comments(4)
吉野の桜
 今年も吉野の桜を撮影に行った。近鉄文化サロンの4月撮影会は去年に続き吉野山へ、桜の時期とうまく合って最高の花見になった。前日の大雨も止み霧の立ち上がる山桜のパノラマは圧巻だった。昼に小雨が降り出したが、より品のいい色合いとなり最高の撮影会となった。ソメイヨシノとは違って、シロヤマザクラを主とする山桜はただただ見ているだけでも心休まる。山道に少し疲れたが心地よい一日だった。
 病院に母を訪ねると、いつ帰れるのかとまた涙された。あと一週間ほどかかるかもしれない。早く治そうと励ましてはみたが、その言葉もすぐに忘れてしまうのだろう。
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# by asuka-ji | 2006-04-13 16:17 | 日々 | Comments(1)
夜桜公演
 時空の夜桜公演が終わった。黄砂で黄色くかすんだ明日香は強風が吹き荒れるあいにくの天候となったが、とにかく雨でなかったのだから良しとしよう。でもさすがに寒かった。ABCの取材があって、最初から最後までクルーが公演に付きっきりだった。準備の段階でいきなり野際陽子や映画監督の井筒さんらが石舞台に現れ、これはテレ朝の番組ロケだった。桜咲く石舞台、満開の花が取り囲み雰囲気は最高だ。前日のNHKでの一分間PRのおかげか客席があふれてしまって、準備の不備が目についた。強風のためシート席を加減してしまったのだ。次回へのいい教訓となった。デビューのU君、子供達、留学生のF君、AY君、皆よくやった。次回に向けて新たなスタートだ。観に来ていただいた方、いろいろとご協力いただいた関係者の方々、ありがとうございました。
 さあ、病院へ母を看に行かねば。
 公園の椿が落ちて鮮やかだ。
 
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# by asuka-ji | 2006-04-10 16:59 | 劇団時空 | Comments(1)
満開の桜
 昨日母を見舞いにいくと、車椅子に座り笑顔で現れた。腰の痛みも一晩で少し良くなった様子。手を強く握りしめたまま放さずに喜んでいる。食事前だったのであまり時間はなかったのだが、家に帰ってから食べるからいいねんと、もう帰る気でいる。治療が必要だからと言い聞かせたものの、後ろ髪を引かれる思いで病院を出た。半年間ほぼ毎日朝晩介護をしてきただけに、たった一日なのにこれでよかったのかと気になって眠れなかった。だがさすがに病院だ、元気な姿を見てよかったのだと納得した。
 朝から甘樫丘へ上った。久しぶりに朝の撮影が出来る。満開の桜が展望台を埋めて誇らしげだ。万物がふくらみはじける春なのだ。胸の奥深く大気を吸い込んだら、ふと込み上げるものがあった。
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# by asuka-ji | 2006-04-06 14:38 | 明日香 | Comments(4)
母を入院させた
 昨日母を入院させた。朝診察から始まり手続きを終了したのは午後6時前。1〜2週間で退院で来そうだが、歩けるようになるのかどうかわからない。母のいない朝、何となく気が抜けた感じで何処かうしろめたいような気持ちになる。前日デイから連絡を受け歩けない母を預かったのはいいが、抱えて腰を痛め家に入れることが出来ず困っていたところ通りがかった人に頼んで運んでもらった。38度8分あった熱は下がり、翌日病院へ入院させた。何が原因なのか内科以外に腰も痛くて歩けない様子なのだ。
 抱えるときに気をつけてはいたのだが、一人で介護する時はどうにもならず無理をする。腰は持病で二十数年前弥山に撮影に登った時滑落して痛めたもの。それ以来なんでもないときに突然痛んだりする。物を持つ時は細心の注意をはらっていたのだが。やってしまった。せっかく一日病院にいたのに自分は診てもらうことすら忘れていた。悲鳴を上げながらそれでも久しぶりに今日はシャッターを切った。
 今日から息子の個展も始まった。「Sho Ueyama wood works in CASO」大阪港区海岸通のCASOギャラリーで16日まで。
 春雨の桜
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# by asuka-ji | 2006-04-05 13:16 | 明日香 | Comments(2)
写真展「十人の大和路」
 写真展「十人の大和路」が始まった。4月1日〜6月25日まで奈良市写真美術館で開催。全倍サイズの作品7点を出品。明日香の風景ばかりを出した。初日に見てきたがまずまず、恥ずかしくない作品が出せたと思う。写真とは一体何だろうと思うことがある。ここ数年印刷業界のデジタル化とともに写真のデジタル化が顕著だ。ニコンがフィルムカメラから実質上の撤退を発表。今後好調なデジカメに移行する。今日の新聞に写真家の藤原新也氏が、カメラのみならず人々がデジタル化してきていると書いている。フィルム自体が鮮やかで現実離れした色合いのものが好まれ、デジタルプリントの色に慣らされてもうそれがあたりまえであるかのような風潮だ。10年間それが氾濫すると人の記憶色自体がデジタル色になっていく。最もなことで、避けては通れない時代の流れ。でもこの色はないだろうというような色合いにごまかされ、ものごとの本質を見失ってはいないだろうか。いくら心に響く色だといっても、本来太陽が与えてくれた色しかないのだから。「本当は歌わない方がいいんだ」といっていたシンガーの言葉がふと浮かんだ。
 芋峠から千股へ
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# by asuka-ji | 2006-04-03 11:51 | 明日香 | Comments(3)
古道
 あっという間に一週間が経ってしまった。とにかくいらいらが積もって爆発しそうだった。それでも雑多な仕事や用事に明け暮れ、とにかく持ちこたえた。昨日は久しぶりに雨の中シャッターを切った。古道の調査が中止になって、それでもあきらめきれず雨の芋峠に向かったのだ。千股へつづく古道のあることをずうっと以前千股の古老から聞いたことがあり、芋峠で途切れてしまった古道の続きを見つけようと一度入ってみたのだがわからずじまいだった。N嬢とともに聞いていた地点から雨の樹林に入るが、直ぐ踏み跡は無くなり急斜面を木につかまりながら下る。よくついてくるなと感心しながら道を探すが見当たらず、かろうじて対斜面に道らしきものがあるように思える。谷を横切り這々の体で斜面に取りつくと山道に出た。植林のための道なのか昔からの街道なのか分からず下っていくと、それらしき雰囲気のある道となりやがて道ばたに小さな石仏が現れた。やったーとお互いに声を上げ石仏に見入る。かわいい笑顔の仏様だった。こういう石仏がいくつも続く道だと聞いていたのだが10分ほど歩いた林道の縁にもう一体見つかっただけ。果たしてまた持ち去られたりしているのだろうかと、芋峠近くの茶屋跡を思い浮かべた。来た道を峠に戻ると、雨はあられとなり芋峠の樹林を叩いた。みよしのの みみがの嶺に…、天武の歌が響き渡るような光景となった。
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# by asuka-ji | 2006-03-31 13:57 | 明日香 | Comments(5)



写真家・上山好庸
(社)日本写真家協会(JPS)
会員
昭和25年明日香村生まれ。
48年中京大学卒業。
奈良新聞社を経て写真家を志す。
61年フリーとなる。

※写真の無断転載はご遠慮下さい。
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