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七滝八壷
緑のある風景はなんとなく落ち着き、心がなごむ。そこに水の流れが加わればことさらだ。流れも直線ではなく、岩に当たっては曲がるのがいい。様々な障害に身を委ね蛇行する様がいい。滝は岩間をほとばしり宙に浮くと勢い壷に飛び込んでゆく、一見時が止まっているかのように形作られた流れも、実は瞬間の連続であることを知る。よくみれば微妙に形は変化しているのだ。小さな飛沫は幾重も画面に重なり合って白い帯となる。肉眼では確認できないカメラの為せる技。岩肌に張り付いた葉はイワタバコ、一月前ならピンクの愛らしい花を咲かせていただろう。
東吉野村、大又の集落を過ぎた谷にある「七滝八壷」。日本の名水百選と環境省のお墨付きをいただいたのか、真新しい石碑が建っていた。
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by asuka-ji | 2008-08-29 15:04 | 日々 | Comments(2)
東吉野
文化サロンで東吉野村へ撮影に行った。夏の暑いときは涼しい谷筋がいいだろうと予定していたのだが、先週からすっかり秋の気配、暑さも何処へやらだが朝6時に集合して東吉野の七滝八壷を目指した。谷の緑がまだそれらしく装っているので撮影。足下がすべるから気をつけてと言っていた本人がすべってしまい、三脚につけたD-300とともに尻餅をつく。やれやれ気をつけねばと思ってカメラを見るとメディアを入れるふたが割れている。なんということだ打ち所がよかったのか悪かったのか、とりあえず撮影は出来るが修理するはめになった。気が緩んでいるのだろう、引き締めなさいということだろうか、さてさて、気になる舞台のお馬さん、今日も作業をしなければ…。
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by asuka-ji | 2008-08-28 16:25 | 日々 | Comments(1)
丘からの風景3
 亊を成しえたという思いに酔った入鹿には、宝皇女の策謀や旻の学堂で共に学ぶ鎌足の動きなど知るすべもない。ただ斑鳩の夜襲で危うく斬られそうになった入鹿を助けたスジアという不思議な女人のことが頭を過った。
 「父上、私は大王になります」法興寺に目を向けたまま入鹿がつぶやいた。
驚いたように蝦夷が入鹿を見る。朝日を受けた顔は歳よりはずいぶん老けて見える。蝦夷はその横顔にはっとした。転がりだした車輪のように勢いを増し、もはや制御することも出来ずに坂を下っていく息子の姿がそこにあった。蝦夷は言葉を失い深い悔恨の淵へと引き込まれていった。そして入鹿の母ハヌルの顔が浮かんだ。新羅の皇族ハヌルは人質として倭国につれてこられ入鹿を産むとすぐに息を引き取った。母のことを入鹿は知らされてない。忌まわしい出来事があったが詳細は伏せられ、入鹿は乳母に育てられた。過去の惨劇が蝦夷の脳裏に浮かんでくる。蝦夷はそれをぐっと心の深奥に押し込めると、また法興寺に目をやった。集めた落ち葉を燃やしているのだろうか煙がたなびいて初冬の伽藍を包んでいった。
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by asuka-ji | 2008-08-25 12:00 | 明日香 | Comments(4)
丘からの風景2
 大和の原をなめるように陽が射し始めた。一面に水蒸気が立ち上る。その靄をかき分けるように川沿いの道に馬群が現れた。入鹿が率いる斑鳩襲撃の兵たちだ。蝦夷は踵を返し邸へと下りていった。入鹿になんと言おうか、邸の門をくぐってもまだ決めかねていた。
 丘に響いていた蹄の音が入鹿の邸のある谷間へと消えていった。少し待てば入鹿が邸に上って来るかもしれない。だが蝦夷は待っていることが出来なかった。門を出るとゆっくりと坂道を下り、小さな尾根に遮られた入鹿の邸へと向かった。道の両側に咲く山茶花の花びらが一面に散り、そこに朝日が射し込んだ。深紅の絨毯を広げたような足下に蝦夷は思わず立ち止まった。とその向こうに入鹿が立っていた。紅潮した頬に目が充血している。肩が波打ちまだ興奮覚めやらずといった表情で、蝦夷を見ていた。蝦夷はゆっくりと近づくと、あれを見よと言わんばかりに法興寺の方に目をやった。入鹿が見ると寺の伽藍に光が降り注ぎ、塔の宝珠が朝日に輝いていた。蝦夷は何も言わずじっと見ていた。入鹿もただ黙ったままそれを見つめていた。
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by asuka-ji | 2008-08-22 10:16 | 明日香 | Comments(6)
丘からの風景1
 東の空が白み始めた。ほの紅く染まった空が、多武峰の稜線にせり上がってくる。法興寺を見下ろす丘の上の邸から、蘇我蝦夷はそれを苦々しい思いで見ていた。「入鹿め、なんということをしでかしたのだ」と吐き捨てるようにつぶやくと、丘の高みへと上っていった。
 身を刺す冷気に蝦夷は思わず身震いをした。ここ甘樫丘から北西に目をやると、飛鳥川の彼方に斑鳩が見える。矢田山の麓にまだくすぶる煙がたなびいている。聖徳太子の皇子・山背大兄王の邸だ。昨夜、谷間の入鹿の邸が騒がしかった。倉庫から武器を出したり、馬の支度をしていたのだろう。蝦夷が斑鳩の宮襲撃の知らせを受けたのは深夜だった。丘からは斑鳩の炎がはっきりと見えた。
 蘇我家の跡継ぎとして入鹿はふさわしく思えた。旻先生の学堂でも群を抜く成績で、子供の頃から何事にも抜きん出た才を発揮した。このときすでに蝦夷のかわりに大臣として政亊に関わっていた。ただいくら実権をにぎっていても、天皇にだけはなることが出来なかった。限りなく王に近い立場にありながら、その頂には立つことが出来ない。その歯がゆさが入鹿を時々血気にはやらせた。
 蝦夷はそれを一番理解している。だから入鹿の思いを抑えることが出来なかった。実質的な王の立場を維持していくためには、緻密に策を巡らし流れを思う方向へと向かわせる忍耐力が不可欠だ。入鹿もそれを頭では分かっているのかもしれないが、まだ若かった。

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by asuka-ji | 2008-08-21 16:24 | Comments(2)
夜のイベント
 8月2日、大化塾のイベントがあった。川原寺跡で夜のイベントだ。「光の回廊」を夏にしようと提案したのだが、9月に決まってしまい、塾生のみで夏にすることになって3年目。カップロウソク1000個と幡に見立てた行灯、明日香絵巻物と朱雀の展示、阪南大学学生による古代衣装のファッションショー、手作りによる衣装だ。そして時空の「大化改新」上演。前日の設営は一日がかり、炎天下での作業はさすがに疲れた。そして当日、イベントは成功といえるかも知れないが、もう少し人が出て欲しかった。花火なら皆出掛けるのだろうが、さすがに暑い夜だった。
 これだけではない。3日は橿原市の教育委員会による講座で昼に2時間のステージを努めた。「万葉ラプソディ」と「大化改新」、時空プロモーションビデオの上映と解説。
 役者の段取りが合わず急遽代役、2時間で台詞を覚えてという要望にこれまた必死に応えてくれて、舞台は大きなミス無く終了。時空は本番に強い。困難には立ち向かいそれを克服する力がある。皆よくやる。本当によくやる。疲れ果てた夜、9月公演の「蘇我入鹿」のポスター撮りをした。衣装、小道具それぞれを間に合わせてくれた。暑い夜、皆さらに熱くなった。
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by asuka-ji | 2008-08-05 15:44 | 劇団時空 | Comments(6)



写真家・上山好庸
(社)日本写真家協会(JPS)
会員
昭和25年明日香村生まれ。
48年中京大学卒業。
奈良新聞社を経て写真家を志す。
61年フリーとなる。

※写真の無断転載はご遠慮下さい。
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