冬の雨、冷たくて身にしみる、3月の雨とはずいぶん違うと思う。山は雪だろうかと大峰の稜線を思い浮かべたりする。ある標高を越えると一気に白くなる冬の山。多分腰までの雪が積もっていることだろう。ブナの樹間をラッセルする縦走の醍醐味を思い出す。ザックの中の水が凍り、みかんがシャーベットのようになったこともあった。額に汗し、一時間もがんばって振り返るとスタート地点から数十メートルしか上っていなかった急斜面のラッセル。行かなくなってからずいぶん年月が過ぎた。行こうと思えば行けなくもなかったのに、次第に体力が衰え無理せずにおこうと気力も萎えかかる。今は母の介護を理由にしているのかも知れない。ずっとそんなことが気になっている。
雨上がりの飛び石