一気に冬の寒さがやってきた。日曜日の木枯らしは竹薮をうならせ、道に枯れ枝や木の葉が散乱した。石垣から突き出した百合の花が二輪「間違えたか」と言わんばかりに風に揺れている。数日前のウグイスの鳴き声は何だったんだろう。
母は寒いと着れるだけ着込んで電気ストーブに手をかざす。午前2時だからもう少し寝てくれよと布団に入れるが4時にはまた起き出す。そうこうするうちに階段を降りる軽快な音がしたかと思うと、「にゃあー」と悪ガキのミーが枕元に来る。顏をそむけるが覗き込むように近づき「くしゅーん」と一発くしゃみ。顏に飛沫が飛ぶ。やめてくれよと追いやるが言うことを聞かず、顏にあごをすりつける。そのうちに丸くなり少しおとなしくなったかと思うと、寝息がすごくなる。
冬めいて冷え込む夜、もう少しゆっくり寝かせてよと布団をかぶったが、ほどなく夜が開けた。片付けと洗濯物を干してから稲渕へ行くと、畑で大豆を叩いている人が今日は霜が降りたといっていた。朝靄が楽しみな季節が来た。