年が明けてからばたばたと日が過ぎていった。地元集落の新年会、明日香村の新春の集い、写真講座の新年会等、気がつけば明日はもう〝とんど〟の日だ。とんどを作るために山の雑木を切り出して、村中のしめ縄を集めるのが子供の仕事だった。木を引きずりながら少し大人になったような気がしたものだ。12月の亥の子とともに冬の大きなイベントのひとつだった。どこの家にもかまどがあり、小さいときから火に親しんでいたように思う。このとんどの火を持ち帰りかまどで小豆粥を炊いて、それをびわの葉に盛って家のあちこちに供えた。これは父親の仕事だった。
飛鳥川を遡ると真新しい勧請縄が掛けられ、集落にはすでにとんどの準備ができていた。昔はこのとんどが終わるまではお正月だったのだ。