墓参りをした。村はずれの土葬墓に両親が眠っている。といってもお骨を埋めただけだが、祖父の時には土葬だった。白い服装をした葬列。坊さんの座る紅いイスを墓まで持って歩く人がいた。そのイスの形がめずらしくて今でも鮮明に覚えている。
棺は棺桶だった。文字通り大きな桶だった。座らせて入れるために大人達が数人掛かっていた。そうして納めた姿を覚えている。私は小学生だった。
その後、祖母を送り、父を送り、母を送った。だが実際に送ったのは昨年12月に亡くなった母だ。母は送ったという実感がある。9年間の介護があったおかげで、見送ることが出来た。手作りの墓標がまだしっかりとしていた。よくできた母だった。認知症になってしまったのは残念だったが、その介護で少しは親不孝が許されたかなと思っている。その数年間がなかったら、今はもっと苦しい思いを持ちながら墓前に向かわなければならなかっただろう。線香を立てながら、小学生の頃作ってくれた服がどんなデザインだったのか思い起こそうとしていた。
花にでも付いていたのだろうか、3ミリ程のカタツムリの赤ちゃんを見つけた。