橘寺の桜葉が雲間からの日差しに輝いていたので、東門にカメラを構えた。落ち葉を掃こうとしていた寺の方が「掃かない方がいいですね」と気を使って手を止めてくれた。先日の風でほとんど落ちてしまったらしい。横に南天の赤い実が秋の深まりを知らせている。掃き清められた境内に、また新しい紅葉が舞い落ちる。どれひとつとして同じ色は無い桜葉。一葉の中の色のトーンがみごとだ。まねのできない自然の妙がある。
聖徳太子誕生地といわれる橘寺。父がこの寺で100日(?)行をしたと聞く。寒菊一本を手に毎夜本堂にお参りしたようだ。家からお寺までいっさい口を利いてはならないため、証明書のようなものを手にして通ったらしい。以来橘寺は私にとっても特別なお寺となった。
本堂横の落ち葉の中に菩提樹のトンボが落ちていた。