爛漫の春、黙って見ているわけにはいかず、新しいカメラをフルに使っている。こんなことは久しぶりだなと感じるのは、母が施設に入っているためだろうか、とはいえ入院時と同じく見舞いに行ってやらねばならない。
峠を越え向かう施設は家から10キロ程、里山を背にした静かな環境にある。今此処にありと主張する桜、芽吹き始めたコナラが山の色をゆっくりと変えていく。道ばたの菜の花…。道中いろいろなことを考えてしまう。
数年前、併設する病院に入院したことがあった。半月だったが毎日通った。退院の日、菜の花がきれいやなと母がつぶやいた。車窓の何処にも菜の花は見つけられなかったが、母の目には見えていたのだろう。そういえばあの時も春4月だった。思わずこみあげるものがあり川沿いの桜がにじんで揺れた。
昨日、家で介護するための準備を指導してくれるということで職員が家を見に来てくれた。家の環境を整えることが出来るか、玄関の20段の階段、部屋のサイズ等実測して帰った。なんといっても階段がネックになる。車椅子で移動できなければデイには行けない。すべて自宅で介護することになる。どういう形になろうと受け入れ果たさねばならない。
甘樫丘より